円・ドル・人民元のどの通貨で見積を取る?中国仕入れの為替管理
中国工場から商品を仕入れるとき、見積書に記載された数字だけでは日本円での最終原価は確定しません。米ドル建て、人民元建てなど決済通貨が異なり、前金と残金の支払時期も違うためです。
2026年9月18日時点で日本銀行が公表している2026年9月分の基準外国為替相場・裁定外国為替相場では、1米ドル163円、中国元は1元24円とされています。ただし、これは財務大臣公示に基づく所定の換算相場であり、実際に銀行で海外送金するときの顧客向け実勢レートそのものではありません。実際の支払原価は利用する金融機関の適用レートと手数料を確認する必要があります。
さらに日本銀行は2026年9月18日に10月分の報告省令レートも公表しており、所定の換算では1米ドル159円、1中国元0.147米ドルなどが示されています。公的な換算レートも月によって変化していることから分かるように、数か月に及ぶOEM案件では見積時の円換算額を固定原価として扱わない方が安全です。
例えば前金30%を発注時、残金70%を量産完成時に支払う場合、それぞれの送金日に円から外貨へ交換します。見積から完成まで2か月あれば、その間の為替変動によって円建て仕入原価が変わります。
見積比較では、USD建て工場とCNY建て工場を単純に数字だけで比較せず、同じ基準日の円換算額へ直します。そのうえで一定の為替変動余地を持たせた原価を作ります。
送金時には銀行手数料も確認します。送金銀行、中継銀行、受取銀行などの費用によって工場への着金額が請求額を下回る場合があります。工場と手数料負担を確認し、残金不足で出荷が止まらないようにします。
さらに送金先の名義確認は非常に重要です。契約会社、Invoice発行会社、銀行口座名義が異なる場合は理由を確認します。取引途中で「銀行口座が変更になった」という連絡が来た場合には、メールだけを信用せず、以前から使用している電話番号やWeChat、別担当者などを利用して変更を確認します。
大型案件では、前金、残金、国際運賃、関税、輸入消費税、日本国内物流費まで支払予定表へ入れます。工場への残金を支払った直後に日本側で多額の税金や物流費が必要になることがあるからです。
為替管理は相場を予想する仕事ではありません。どの通貨で、いつ、いくら支払うのかを把握し、為替が変動しても利益と資金繰りが崩れない仕入計画を作ることが重要です。