図面がない商品を中国でOEMするには|写真と寸法から試作へ進める実務
中国でOEMやオーダー生産をしたいお客様から、「写真はあるが図面がない。それでも作れますか」と相談されることがあります。結論から言えば、商品によっては十分可能です。ただし、写真だけを工場へ送り、そのまま100台、500台と量産する方法はおすすめできません。
まず工場へ伝えるべきなのは商品の用途です。同じ形に見えるラックでも、衣類を掛ける店舗什器なのか、家庭で使用する収納用品なのかによって必要な強度が違います。家具なら住宅用、ホテル用、飲食店用など使用環境も説明します。
次に主要寸法を決めます。高さ、幅、奥行だけでも構いませんので、絶対に変更できない寸法を示します。細部寸法について工場提案を受ける場合は、その部分を明確にします。参考写真へ矢印と寸法を書き込んだ資料でも、初期相談には十分役立ちます。
材料について分からない場合、「写真と同じ材料」と指定するより、希望する見た目、使用場所、強度、予算を伝えて工場から材料提案を受けます。例えば金属什器ならステンレス、スチール、アルミなどで価格や加工方法が異なります。表面処理も粉体塗装、メッキ、研磨など選択肢があります。
工場から提案図面が届いたら、それを量産仕様の基礎にします。寸法、材料、板厚、接合方法、色、部品などを確認し、試作品を1台または少数製作します。実物が日本へ届いたら、見た目だけでなく実際に商品を載せる、扉を開閉する、荷重をかけるなど使用状態で確認してください。
修正点は文章だけで伝えず、写真に番号を付け「①高さを20mm変更」「②この角を丸くする」といった形で整理すると誤解を減らせます。修正後は図面の版番号や日付を更新し、どの図面が最終版なのか明確にします。
量産前には最終承認サンプルと仕様書を基準として確定します。ここまで進めて初めて「写真から商品を作る」という作業が、再現可能な製造仕様になります。
また、デザインによっては第三者の意匠権、商標権、著作権など知的財産への確認が必要です。他社商品の写真をそのまま複製するのではなく、自社の商品として製造・販売できるデザインか確認してください。
図面がないこと自体は、中国OEMを断念する理由にはなりません。重要なのは、曖昧なイメージを工場とのやり取りを通じて「数字、材料、図面、サンプル」に変換することです。この工程を丁寧に行えば、店舗什器や家具をはじめ、さまざまなオーダー商品の開発が可能になります。