中国OEMで仕様変更が繰り返される案件を管理する方法
中国でOEM・ODMやオーダー生産を行うと、最初に依頼した仕様のまま一度で量産へ進む案件ばかりではありません。試作品を確認して『高さを20mm下げたい』『色を少し暗くしたい』『金具を変更したい』と修正が重なることがあります。問題は変更そのものではなく、どの仕様が最終版なのか分からなくなることです。
特にWeChatやメールで変更を繰り返すと、工場の営業担当者は理解していても、生産管理担当者や現場作業者へ最新版が伝わっていないことがあります。そのため、重要な変更をチャットだけで完結させず、最終的には一つの仕様書へ反映することが大切です。
実務では、図面や仕様書へ日付とバージョン番号を付けます。例えばV1、V2、V3と更新し、『量産に使用するのはV3』と明確にします。旧版を残しておけば、いつ何を変更したのかも確認できます。家具なら寸法、材質、塗装色、金具、表面処理、梱包をまとめ、店舗什器なら耐荷重、溶接位置、棚板、アジャスターなども記載します。
試作品を作った場合は、単に『サンプルOK』と伝えるのではなく、どの部分を承認したのかを記録します。サンプルの写真を撮影し、主要寸法や色見本を残し、必要であれば工場にも承認サンプルを保管してもらいます。日本へサンプルを送った場合は、工場側にも同等の基準品が残っているか確認すると量産比較が容易になります。
また、仕様変更が価格と納期へ与える影響もその都度確認します。材料を変更すれば単価が変わる可能性があり、構造変更で新しい治具が必要になれば生産期間も変わります。日本側が小さな変更と思っていても、工場では工程全体を変更しなければならない場合があります。
量産開始前には、最終図面、最終単価、数量、梱包、納期をまとめて双方で確認します。この時点を『仕様凍結』として、それ以降の変更は追加費用や納期変更の可能性があることを共有しておくと管理しやすくなります。
さらに量産初期に最初の数個を確認する方法も有効です。特注家具や金属什器では、全数完成後に寸法違いが見つかるより、最初の製品で発見した方が修正範囲を小さくできます。
OEMは工場へイメージを伝えて終わる仕事ではありません。仕様を文章、図面、写真、サンプルで固定し、変更履歴を管理し、量産現場まで最新版を届けることが重要です。仕様管理を丁寧に行うほど、不良や再製造だけでなく、工場との責任範囲をめぐるトラブルも減らすことができます。