貿易コンサルティング

FOB見積とEXW見積を比較して「日本到着原価」を作る貿易相談

中国工場AはFOB、工場BはEXWというように見積条件が異なると、商品単価だけではどちらが有利か判断できません。Incotermsの役割分担を確認し、中国国内物流、国際運賃、関税、輸入消費税、日本国内配送まで項目を分解して、日本到着原価を比較する実務相談について説明します。

中国工場から複数の見積を取得したものの、「A社はFOB、B社はEXWなので、どちらが安いのか分からない」という相談があります。これは中国貿易を始める際によく起こる問題です。

HONG KONG JCBO LIMITEDの貿易コンサルティングでは、このような見積を単純に商品単価だけで比較せず、中国工場から日本の納品先までに発生する費用を分解し、比較できる状態へ整理します。

まず貿易条件を確認します。2026年9月18日時点でICCが案内する最新の規則はIncoterms 2020です。EXWでは指定場所で商品を買主の処分に委ねることが基本となり、FCAでは指定場所で運送人等へ引き渡す条件が定められています。一方、FOBは海上・内陸水路輸送向けの条件で、指定船積港で貨物を本船上に置くことで引渡しとなります。ICCは、コンテナターミナルなど本船積込み前に運送人へ貨物を引き渡す取引では、FOBではなくFCAを検討すべき場合があることも説明しています。

実際の相談では専門用語を覚えることより、各見積に「どこまでの費用が入っているか」を確認します。EXW見積であれば工場からの集荷、中国国内輸送、輸出手続等について誰が担当するのかを物流会社と確認します。FOB見積であれば指定船積港までの売主側の範囲を確認します。

そのうえで、中国国内費用、国際運賃、保険、関税、輸入消費税、通関関連費用、日本国内配送などを項目ごとに整理します。これによって条件の異なる見積を「日本で商品を受け取るまで」という共通の基準で比較できます。

例えばA工場がFOBで1台200ドル、B工場がEXWで190ドルなら、数字だけを見るとB工場が安く見えます。しかしB工場が輸出港から遠く、中国国内の集荷費用が大きければ差が縮まる可能性があります。さらに梱包容積が違えば国際運賃も変わります。

家具や店舗什器など容積の大きい商品では、商品価格以上に梱包効率が総原価へ影響する場合があります。完成品で100台送ると40フィートコンテナが必要でも、分解梱包に変更すれば20フィート相当まで圧縮できる、といった可能性があるため、物流費まで含めて検討します。

関税については商品ごとにHSコードと適用税率を確認する必要があります。税番判断が難しい場合には、日本税関に事前教示制度があり、関税分類や関税評価等について輸入前に照会できる仕組みがあります。実際の案件では通関業者や税関への確認が必要になる場合があります。

貿易コンサルティングの目的は「FOBが良い」「EXWが悪い」と一律に決めることではありません。商品の種類、工場所在地、数量、物流体制によって適した条件は異なります。

工場から複数の見積を取得して判断に迷っている場合は、見積書、商品情報、数量、工場所在地、日本側納品場所をご提示ください。それぞれの条件を同じ基準へ置き換え、追加で工場や物流会社へ何を確認すべきかを整理するところから進めます。