中国工場から届いた量産品が承認サンプルと違う―責任を判断する前に確認すること

中国OEMで起こりやすいトラブルの一つが、「届いた量産品が最初のサンプルと違う」という問題です。色が違う、材料が違う、金具が変わった、寸法が少し違うなど内容はさまざまです。このとき、すぐに「工場のミスだから全数作り直してください」と要求する前に、まず何が正式な量産基準だったのかを確認します。

最初に見るのは最終仕様書です。試作後に寸法や材料を変更している場合、初回サンプルそのものが最終仕様ではない可能性があります。メールやWeChatで「ここを変えてください」と何度も指示している案件ほど、どのバージョンが最終版なのか分からなくなりやすくなります。

次に承認サンプルを確認します。日本側だけがサンプルを保管している場合、工場側の量産現場が何を基準にしたのかを確認します。写真だけを量産基準にしていた場合、色や表面仕上げなどは正確に再現できないことがあります。

問題が確認できたら、全数に発生しているのか、一部だけなのかを調べます。例えば100台中3台の傷と、100台すべての寸法違いでは対応がまったく異なります。写真、動画、測定値、箱番号を記録し、工場へ具体的な情報を送ります。

その後、原因を確認します。材料ロットの変更、作業者の図面読み違い、工場側の無断仕様変更、日本側の変更指示漏れなどが考えられます。責任範囲を判断するためにも、感情的な交渉より記録の照合が重要です。

対応方法は再製造だけではありません。日本で補修できる軽微な問題なら、補修費を工場と協議する方が早い場合があります。交換部品だけ中国から航空便で送ってもらう方法、次回発注で代替品を追加する方法などもあります。一方、安全性や機能に関係する重大な不良は安易に使用せず、適切な対応を検討します。

大型家具を中国へ返品する場合、往復物流費が商品価格を上回ることもあります。そのため契約時点で、不良発生時にどのような方法で対応するかをある程度決めておくと交渉しやすくなります。

この種のトラブルを減らす最も効果的な方法は出荷前検品です。日本へ到着してから初めて100台を確認するのではなく、中国で量産が完成した段階で仕様書と承認サンプルに照らして確認します。問題があれば中国国内で修正してから出荷します。

中国貿易では、トラブルが起きないことだけを目標にするのは現実的ではありません。重要なのは、問題が起きたときに事実を確認できる資料を残し、最小の費用と時間で解決できる仕組みを作ることです。図面、変更履歴、承認サンプル、検品記録を残すことは、工場を責めるためではなく双方を守るための実務です。