中国貿易で起きやすい5つの失敗―問題が起きてからではなく発注前に防ぐ

中国貿易のトラブルというと、「悪い工場に騙された」という話が注目されがちです。しかし実務では、発注者と工場の確認不足によって起きる問題も多くあります。問題が起きた後の交渉力より、発注前に問題が起きる場所を想像する力の方が重要です。

一つ目は、最安値だけで工場を選ぶことです。同じように見える商品でも、材料の厚み、材質、表面処理、部品、梱包などが違えば価格は変わります。他社より極端に安い見積が出た場合には、すぐ発注するのではなく「どの仕様でこの価格なのか」を確認します。

二つ目は写真だけでオーダー生産することです。例えば店舗用ラックの完成イメージを送り、「高さ110cm、幅55cm程度で100台」と依頼しても、パイプ径、板厚、接合方法、色、耐荷重など決まっていない項目が残ります。量産前に工場から製作用図面を提出してもらい、試作品を確認します。

三つ目は工場の生産納期を日本納品日と勘違いすることです。「30日で完成」という回答の後には、検品、修正、梱包、中国国内輸送、輸出通関、国際輸送、日本通関、国内配送があります。希望納品日から逆算して各工程の日付を作ります。

四つ目は、輸入規制を商品完成後に確認することです。日本で許可、承認、検査等が必要な商品について、必要な資料を中国工場から取得できなければ輸入手続に影響します。特殊商品は見積段階で通関業者や主管官庁へ確認します。

五つ目は、品質確認の方法を決めずに支払いと出荷を進めることです。商品が日本へ到着してから大量不良が見つかると、中国工場内で修理する場合より対応費用が大きくなります。量産前の承認サンプルと出荷前検品を組み合わせます。

問題が発生したときには「品質が悪い」とだけ工場へ伝えるのではなく、発注書、図面、承認サンプル、写真、検品報告を整理します。例えば100台中、塗装傷5台、寸法違い2台、部品不足3台というように具体化し、修理、再製作、交換部品、値引きなど現実的な解決策を協議します。

国際取引では完全にリスクをゼロにすることはできません。しかし仕様、価格、納期、規制、品質、支払条件を発注前に確認すれば、多くの問題は発生確率を下げられます。中国貿易では「問題が起きたらどうするか」と同時に、「問題を日本へ持ち込まない仕組み」を作ることが重要です。