量産品の基準見本を残す|中国工場と品質判断を共有するゴールデンサンプル管理
量産前に承認したサンプルを品質判断の基準として管理し、「前回と同じ」「サンプルと同じ」という曖昧な指示を減らします。色、仕上げ、寸法、部品など文章だけでは判断しにくい項目を基準見本と仕様書で共有する品質管理方法を説明します。
中国工場との継続取引で起きやすい問題の一つが、「前回と同じ商品を注文したのに、今回の商品が少し違う」というケースです。工場側では同じ商品として生産していても、材料の仕入先、部品、色、表面仕上げなどが少しずつ変わることがあります。HONG KONG JCBO LIMITEDでは、このような認識差を減らす方法の一つとして、量産前に承認した基準見本と仕様書を組み合わせて管理することを重視しています。
OEMでは、最初に試作品を作り、一度の試作で完成しなければ修正を繰り返します。問題になるのは、複数の試作品が存在した状態で量産へ進み、「どのサンプルが最終承認品なのか」が曖昧になることです。チャットで「前のサンプルより少し濃くしてください」と指示しただけでは、数か月後の再注文時に正確な基準を再現することが難しくなります。
そこで、最終的に承認したサンプルを基準見本として明確にします。必要に応じて工場側と発注側で同じ基準を確認できるようにし、商品番号や承認日、仕様書の版などを対応させます。すべての品質項目を現物だけで管理するのではなく、寸法や材料など数値・文字で指定できるものは仕様書へ記載し、色合いや手触り、仕上げなど文章だけでは伝わりにくい部分をサンプルで補います。
例えば家具では、外形寸法が図面通りでも、木目、塗装の艶、金物、扉の感触などによって商品の印象が変わります。店舗什器でも、指定寸法が合っていても塗装面や溶接部分の仕上がりが承認品と異なることがあります。このような項目について「良い・悪い」という主観だけで工場と交渉するより、承認した基準と比較する方が問題を具体的に説明できます。
基準見本は出荷前検品にも利用できます。検品担当者へ商品写真だけを渡すのではなく、最終仕様書と承認内容を共有し、どの項目を比較するのか明確にします。検品報告についても「問題なし」という結論だけではなく、寸法、外観、部品、機能など必要な項目を確認します。
また、工場が材料や部品を変更する場合のルールを決めておくことも重要です。工場から見れば同等品であっても、日本側では外観や使用方法に影響する可能性があります。変更が必要な場合には量産へ投入する前に情報を共有し、必要に応じて写真やサンプルで確認してから進めます。
継続発注では、前回発生した不良や改善事項も次回生産へ引き継ぎます。一度修正した問題が担当者変更などによって再発しないよう、検品基準や仕様書へ反映しておくことが有効です。
もちろん、基準見本を作れば不良が完全になくなるわけではありません。しかし「何を基準に品質を判断するのか」を工場と共有することで、曖昧な品質交渉を減らすことができます。
現在、中国工場と継続取引をしていてロットごとの品質差にお困りの場合には、現在の仕様書、商品写真、過去の不良内容などを確認し、どの項目を基準化するべきか整理するところからご相談いただけます。