中国工場との契約で「納期」を日付だけで決めてはいけない理由
中国工場との契約でトラブルになりやすい項目の一つが納期です。「発注から30日」「10月末完成」という表現は一見明確に見えますが、OEMやオーダー生産では、それだけでは双方の理解が一致しないことがあります。
例えば工場が「生産期間30日」と回答した場合、その30日が見積承認日から始まるのか、前金着金日からなのか、最終図面承認日からなのかを確認する必要があります。工場側は材料を発注できる状態になってから30日と考え、日本側は注文書を送った日から30日と考えていれば、最初から予定がずれています。
そのため契約や発注書では、納期を工程に分けて管理します。試作が必要なら試作期間、サンプル確認期間、修正期間、最終仕様承認日、材料調達期間、量産期間、出荷前検品日、修正予備日、工場出荷予定日を設定します。特に特注家具や店舗什器では、材料の手配後に仕様変更すると納期だけでなく追加費用が発生することがあります。
また「完成日」と「出荷日」も同じではありません。商品が工場で完成しても、検品、梱包、集荷、中国側輸出通関、港への搬入が必要です。海上輸送の場合は予定船のCY・CFS締切に間に合わなければ、次の船を待つことになります。日本で必要な納品日が決まっている案件では、工場完成日ではなく日本納品日から逆算します。
契約時には遅延が発生した場合の連絡方法も決めておくと実務的です。予定から遅れる可能性が判明した時点で、工場から原因、現在の進捗、修正後予定日を報告してもらいます。完成予定日の前日に初めて「あと1週間必要」と連絡される状態を避けるためです。
一方で、工場へ過度な納期責任だけを求めるのも適切ではありません。日本側が図面承認を1週間遅らせた場合、その影響を工場だけに負わせるのは合理的ではありません。双方の作業期限を明確にし、日本側の承認遅延による日程変更も記録します。
大型連休も考慮します。中国の春節や国慶節前後では、工場だけでなく材料メーカー、物流会社、倉庫の稼働も通常と異なります。公式休日だけを見ず、工場ごとの実際の休業予定を確認します。
契約書の目的は、遅れた工場を罰することだけではありません。どの工程を誰がいつまでに完了するかを共通認識にすることです。「納期30日」という一行を、実際に管理できる工程表へ変えることで、中国工場との取引は大幅に進めやすくなります。