中国工場への発注書で必ず明確にしたい納期・仕様・不良対応
中国工場との交渉がまとまると、早く生産を始めるために見積書とチャットだけで前金を支払いたくなることがあります。しかし量産案件では、正式発注前に主要条件を一つの発注書や契約資料へまとめることをおすすめします。問題が起きたとき、双方が確認できる共通資料が必要だからです。
まず商品仕様です。商品名や型番だけでなく、最終図面や仕様書の番号を発注書と関連付けます。『以前送った写真と同じ』ではなく、『2026年9月15日承認の仕様書V4に基づく』という形にすると、どの資料が量産基準なのか明確になります。
数量と価格については、通貨と貿易条件も記載します。例えば単価USD100とだけ記載するのではなく、FOB Shanghai Incoterms 2020など、どこまでが価格に含まれるのかを明確にします。中国国内集荷費や輸出関連費用をどちらが負担するかも物流会社の見積と照合します。
納期は特にトラブルになりやすい項目です。『30日で完成』という表現だけでは、注文日から30日なのか、前金着金からなのか、最終サンプル承認からなのか分かりません。OEMでは最終図面承認後に材料調達を始める工場もあるため、量産期間の起算日と予定完成日を明記します。
支払条件についても、前金と残金の割合だけでは不十分です。残金を量産完成時に支払うのか、出荷前検品合格後なのか、船積み後なのかを確認します。買主に一方的に有利な条件を要求するのではなく、工場側の材料調達負担も考えながら、品質確認と資金負担のバランスを取ります。
不良対応では『不良品は工場が責任を負う』だけで終わらせず、何を不良とするのか、検品基準、再製造、補修、交換部品、次回注文での調整など、商品に適した対応を話し合います。特注品は中国へ返品する方が費用が高くなることもあります。
梱包条件も契約事項です。家具や什器では梱包が弱いと、工場出荷時は正常でも日本到着時に破損します。梱包材、木枠の有無、カートン表示などを事前に確認します。
契約書や発注書だけですべてのリスクを防げるわけではありません。しかし、重要条件を書面化すると『言った・言わない』を減らし、工場の営業担当、生産担当、日本側担当、物流会社が同じ条件を確認できます。交渉の目的は相手を縛ることではなく、双方が同じ条件で仕事を進められる状態を作ることです。