RCEPを中国輸入で使う前に確認すること―原産地証明と関税率の実務
中国から日本へ商品を輸入するとき、「RCEPを使えば関税が安くなる」と聞くことがあります。しかし実務では、中国から輸入するすべての商品に一律で低い税率が適用されるわけではありません。まず商品ごとのHS番号を確認し、その品目について日本のRCEP協定税率が設定されているかを確認する必要があります。
日本税関のRCEP案内では、最初の条件として、日本へ輸入する貨物についてRCEP協定の特恵税率が設定されていることを確認するよう案内しています。税率はHS番号6桁と日本の統計細分を基に実行関税率表で確認できます。また一部品目では、中国、韓国、ASEAN・豪州・ニュージーランドなどで税率が異なる場合があります。
次に、その商品がRCEP協定上の「原産品」でなければなりません。中国の工場から出荷されたという事実と、中国原産品であることは同じではありません。税関は、完全生産品、原産材料のみから生産される産品、品目別規則を満たす産品という原産品の類型を示しています。外国から部材を輸入して中国で加工する製品では、品目別規則等を確認する必要があります。
さらに、輸入申告時には所定の原産地証明手続が必要です。RCEPでは発給機関が発給する原産地証明書など複数の方法があります。日本への輸入では一定条件の下で輸入者自己申告制度も利用できますが、輸入者自身が原産品であることを証明する十分な情報を保有し、原産品申告書や追加的な説明資料を準備する必要があります。
実務では、商品が完成して船積みされた後で「RCEPを使いたい」と言い出すより、見積段階で確認する方が安全です。工場へHSコード候補、原材料、生産工程、原産地証明への対応可否を確認し、日本側では通関業者と税率・必要書類を確認します。
特に継続輸入では、通常税率とRCEP税率の差が小さくても年間輸入額が大きければ影響が積み上がります。一方、書類取得や原産性確認に手間がかかる商品もありますので、節税額と実務負担の両方を考えます。
なおHSコード自体が間違っていれば、RCEP税率の検討も正しくできません。分類が難しい商品は税関の事前教示を利用することも選択肢です。
RCEPは「中国製なら自動的に安くなる制度」ではありません。HS分類、協定税率、原産品要件、証明書類という順番で確認し、条件を満たした場合に利用する。この手順を発注前に組み込むことが実務上重要です。