中国貿易で起きやすい失敗|安い見積を選んだ後に増える費用

中国貿易で発生するトラブルは、「悪い工場に騙された」という単純なケースだけではありません。日本側と中国側で条件の理解が違っていたことが原因になるケースも多くあります。

典型的なのが仕様違いです。日本側は参考写真と同じ商品を注文したつもりでも、工場側は似た材料で作ればよいと理解していることがあります。写真だけで発注せず、寸法、材料、色、表面処理、部品、梱包などを仕様書へ記載する必要があります。

二つ目は価格です。最安値の工場へ発注したところ、量産時に材料が変更される、梱包が簡略化される、追加費用を請求されるといった問題があります。値下げ交渉後には「どの仕様も変更しない」という確認が必要です。

三つ目は納期です。「30日でできます」という回答だけを信じ、30日の起算日を確認していなかったため、実際にはサンプル承認後から30日だったというケースがあります。発注書には完成予定日を具体的な日付で入れる方が管理しやすくなります。

四つ目は物流費です。商品価格は安かったものの、梱包後の容積が大きく、海上運賃や国内配送費を加えると他社より高くなる場合があります。見積時に梱包サイズを取得し、着地原価で比較します。

五つ目は通関書類です。インボイスの商品名が曖昧、数量がPacking Listと一致しない、必要な許認可を確認していないなどの理由で、日本到着後に確認作業が増えることがあります。通関確認は船積後ではなく発注前から始めます。

六つ目は不良品です。不良率が高かったにもかかわらず、すでに残金を全額支払っていると対応交渉が難しくなります。量産中または出荷前検品を設定し、問題があれば修正後に出荷する流れを作ります。

七つ目は送金先変更です。取引途中で銀行口座変更の連絡が来た場合は慎重な確認が必要です。担当者メールが第三者に利用される可能性も考え、既知の電話番号や別の連絡経路で確認します。

トラブル対策で最も重要なのは「問題が起きない工場」を探すことだけではありません。問題が発生しても、仕様書、注文書、検品記録、写真、送金記録などを基に事実を確認できる状態を作ることです。

中国貿易では、発注前確認に1日余計に使う方が、出荷後の修正に数週間使うよりはるかに効率的です。価格決定を急ぐより、仕様・納期・物流・通関・支払の五つを確認してから発注することが最大のトラブル予防になります。