中国工場の見積書は単価だけ見ない―本当の輸入原価を比較する方法
中国工場から3社の見積を取って、一番安い会社へ発注する。この方法は分かりやすいのですが、実際には比較条件が揃っていないケースが少なくありません。例えば同じ家具でも、木材の種類、板厚、塗装回数、金具、梱包方法が違えば価格は当然変わります。まず「同じ商品を比較しているか」を確認する必要があります。
見積依頼では、商品仕様と数量を統一し、見積書には単価だけでなくMOQ、サンプル費、金型・治具費、梱包費、納期、支払条件、有効期限、Incoterms条件を記載してもらいます。特にEXWとFOBの見積を同じ表で単純比較してはいけません。EXWでは工場から中国港までの輸送や輸出手続などを買主側で手配する必要があり、FOBとは費用範囲が異なります。
次に計算するのが着地原価です。概念としては、商品代金だけでなく、中国側で発生する費用、国際運賃、保険、日本側港湾・通関関連費用、関税、輸入消費税、国内配送などを確認します。ただし税金の扱いや控除可否は輸入者の状況によって異なるため、会計上の最終コストについては税理士等への確認が必要です。
家具や店舗什器では「容積」が非常に重要です。商品単価が安くても完成品のまま梱包するとCBMが大きくなり、海上輸送費が上昇します。ノックダウン構造にできる商品なら、組立費との比較をした上で梱包容積を減らせる可能性があります。見積段階でカートンサイズ、梱包後重量、1箱当たり数量を確認し、20フィートや40フィートコンテナへの積載数を試算します。
価格交渉をするときは「もっと安くしてください」だけでなく、原価を変えられる条件を探します。発注数量を増やす、色数を減らす、共通部品を使う、梱包仕様を変更する、納期に余裕を持たせるなどです。工場側にも材料費、加工費、人件費、梱包費がありますので、理由のない値下げを続けると、見えない部分で材料や工程を変更されるリスクがあります。
また、初回見積と量産時の価格が同じとは限りません。原材料、為替、数量、仕様変更などで価格が変わるため、見積有効期限と再注文時の価格確認方法を決めておきます。
輸入ビジネスで重要なのは「中国でいくらで買ったか」ではなく、「日本の指定場所までいくらで届き、販売可能な状態になるか」です。見積比較表には工場単価だけでなく、物流と税関関連費用を含めた着地原価欄を作ると、仕入判断が大幅に正確になります。