中国仕入れの見積比較は工場単価ではなく「日本到着原価」で行う
中国工場から複数の見積を取得すると、最初に商品単価を比較したくなります。しかし貿易案件では、工場単価が最も安い仕入先が日本到着時にも最安とは限りません。私たちが案件を見る場合には、できるだけ日本の指定納品場所まで含めた総原価で比較します。
まず確認するのは貿易条件です。同じ商品がA工場95ドル、B工場100ドルでも、AがEXW、BがFOBであれば単純比較できません。EXWでは工場からの集荷、中国国内輸送、輸出関連費用などを買主側で手配する範囲が大きくなります。見積書には価格と一緒にIncoterms条件と指定場所を記載してもらいます。
次に重要なのが梱包後の重量と容積です。特に家具、店舗什器、建築資材では商品単価より物流費の差が大きくなる場合があります。工場には「1箱の梱包寸法、重量、箱数、総容積、総重量」を確認します。分解式に変更することで容積を減らせる商品なら、製造段階から物流効率を検討します。
日本側では国際運賃だけでなく、港湾・取扱関連費用、輸入通関、関税、輸入時の消費税、日本国内配送なども考慮します。関税率は商品名だけで決まるわけではなく、HS分類によって異なります。税関は実行関税率表を公開しているため、商品写真、材質、用途などを通関業者へ渡し、必要に応じて分類を確認します。
価格交渉では単純な値下げ要求だけではなく、数量、材料、梱包、仕様、支払条件を組み合わせる方が現実的です。100台、300台、500台で段階的な価格を出してもらう方法もあります。また工場標準材料を使用した場合と指定材料を使用した場合の差額を聞けば、どの仕様が原価へ影響しているかが分かります。
ただし安くするために必要な品質まで削ってはいけません。例えば店舗什器で板厚を薄くすれば単価は下がっても、使用時の安定性に問題が出れば意味がありません。削減可能な仕様と維持すべき性能を分けて交渉します。
原価表には、商品代、サンプル・金型、梱包、中国国内物流、国際物流、保険、関税、輸入関連税、日本国内物流などを別項目で入れておくと、次回の見積にも利用できます。中国仕入れで利益を安定させるには、「工場からいくらで買ったか」ではなく「日本の指定場所へ届けるまで最終的にいくらかかったか」を管理することが基本です。