コンテナ貨物ならFOBでよい?Incoterms 2020でFCAも検討したい理由

中国から海上輸送するとき、工場から「FOB Shanghai」で見積を受けることは珍しくありません。しかし、コンテナ貨物だから必ずFOBにしなければならないわけではありません。取引条件は慣習だけで決めず、実際に貨物をどこで運送人へ引き渡すかに合わせて検討することが重要です。

国際商業会議所のIncoterms 2020には11の規則があります。このうちFOB、FAS、CFR、CIFは海上・内陸水路輸送向けの規則です。一方、EXW、FCA、CPT、CIP、DAP、DPU、DDPは輸送手段を問わず使用できます。

ICCの2024年版チェックリストでは、コンテナ輸送や複合輸送、内陸・港湾ターミナルで引き渡す貨物についてFCAを選択する考え方が示されています。一方、FOBは船上でリスクと費用を区分したい一般貨物やバルク貨物などを想定した選択肢として説明されています。

実際の中国輸入ではFOBが広く利用されているため、商慣習としてFOB見積を受けること自体は珍しくありません。ただし契約担当者は、貨物が工場から港へどのように運ばれ、どの地点で運送人へ引き渡されるのかを理解して条件を決めるべきです。

FCAでは指定場所を明確にすることが重要です。工場を指定する場合とコンテナヤードやターミナルなど別の場所を指定する場合では、引渡しの方法が異なります。「FCA China」のような曖昧な記載ではなく、具体的な指定場所を契約に記載します。

EXWについても注意が必要です。ICCのIncoterms 2020では、EXWの売手は原則として買手が手配した車両への積込みや輸出通関義務を負いません。またICCのチェックリストでは、EXWは主として国内取引に適しているとの注意も示されています。中国から日本への輸出でEXWを使う場合、中国側で買手が輸出手続を実際に行える体制があるか確認が必要です。

CIFやCFRでは売手が仕向港までの運送を手配しますが、費用負担と危険移転の地点を混同しないことが大切です。CIFだから日本の指定倉庫まで売手が責任を負うという意味ではありません。

実務では見積書に「FOB Shanghai Incoterms 2020」「FCA ○○Warehouse Incoterms 2020」のように規則、指定場所、版を明記します。そして工場、フォワーダー双方へ中国側で誰がどの費用を負担するか確認します。貿易条件は3文字を選ぶだけではなく、物流の実態と契約を一致させるための重要な設計です。