FOB・CIF・C&F・EXWの違い―中国輸入で条件名だけを見てはいけない

中国工場から見積を取ると、「EXW」「FOB Shanghai」「CIF Tokyo」などの表記が出てきます。これはIncotermsと呼ばれる国際的な貿易条件です。2026年9月時点でICCが示している最新版はIncoterms 2020で、11の規則があります。重要なのは、Incotermsが単なる運賃の表示ではなく、売主と買主の費用、危険、一定の手続上の義務を整理するルールだということです。

EXWは工場など指定場所で商品を買主の処分に委ねる条件です。ICCの説明でも、EXWでは売主は集荷車両への積込みや輸出通関を行う義務を原則として負いません。そのため中国工場からEXW価格を提示された場合、日本側は工場からの集荷、中国国内輸送、輸出手続などを誰が行うのか物流会社へ確認する必要があります。価格だけを見ると安く見えますが、追加費用を含めて比較します。

FOBは海上・内陸水路輸送向けの条件で、指定船積港を明確にします。中国輸入では「FOB Shanghai」「FOB Shenzhen」などがよく使われます。ただしコンテナ貨物についてICCの選択ガイドでは、コンテナや複合輸送ではFCAを検討する考え方も示されています。慣習的にFOBという言葉だけで進めず、実際の引渡地点と物流手配を確認することが大切です。

CFRはCost and Freightで、以前から実務上「C&F」と呼ばれることがありますが、Incoterms 2020の正式な規則名はCFRです。CIFはCost Insurance and Freightで、売主が指定仕向港までの運送契約に加えて所定の保険を手配します。ただし「CIFだから日本の倉庫まで全部込み」という意味ではありません。日本到着後に港湾費用、通関、税金、国内配送などが発生し得ます。

また、費用を誰が負担するかと、商品の危険がどこで売主から買主へ移るかは必ずしも同じ地点ではありません。CIFやCFRでは売主が仕向港までの運賃を負担しますが、それだけを理由に仕向港到着まで売主がすべての貨物リスクを負うと考えるのは適切ではありません。

実際の見積では「FOB」だけで終わらせず、「FOB Shanghai, Incoterms 2020」のように場所とルールの版を明確にします。また中国側ローカルチャージ、日本側チャージ、保険、通関、配送を物流会社から別途見積りし、総額を比較します。

貿易条件は三文字を覚えることが目的ではありません。「どこまで工場が手配し、どこから自社が手配するのか」「どこで危険が移るのか」を案件ごとに確認することが実務では最も重要です。