RCEPを中国輸入で使う前に確認すること―原産地申告と関税メリットの実務

中国から日本へ商品を輸入する際、仕入先選定で見落とされやすいのが原産地に関する資料です。日本と中国の間ではRCEPが利用できるため、対象品目について原産地規則など所定の条件を満たせば、RCEPに基づく関税率が適用される可能性があります。ただし「中国工場で作った商品だから自動的にRCEP税率になる」という仕組みではありません。

まず確認するのは商品のHSコードです。日本税関の2026年実行関税率表には、品目ごとに基本税率、WTO協定税率、各EPA税率などが掲載され、中国についてRCEP税率の欄があります。そもそも一般税率が無税の商品であれば、RCEPを利用しても関税面のメリットが生じないことがあります。反対に税率差がある商品では、輸入数量が多くなるほど原産地手続の重要性が高まります。

次に、その商品がRCEP上の原産品に該当するかを確認します。完成品を中国で組み立てたという事実だけでは十分とは限りません。使用材料の原産地や製造工程など、品目別原産地規則に基づいて判断する必要があります。そのためOEM商品では、工場が材料構成や製造工程について必要な情報を提供できるかが重要になります。

日本税関のRCEP案内では、日本への輸入において輸入者自己申告制度を利用できます。輸入者が貨物を原産品と証明する十分な情報を持つ場合に原産品申告書を作成する制度で、必要的記載事項を含めて英語で作成する必要があります。また税関の案内では、原産品であることを明らかにするための説明資料として、契約書、価格表、総部品表、製造工程表等が例示されています。

ここで実務上の問題になるのが、輸入直前になって工場へ資料を要求しても、すぐには用意できないことです。工場が原材料を複数の仕入先から調達している場合、原産性確認に時間がかかることもあります。したがってRCEP利用を予定する案件では、見積段階から工場へ必要資料を相談します。

また、関税削減額と書類作成の手間を比較することも大切です。少額輸入で関税差がわずかな場合と、年間数千万円を継続輸入する場合では判断が異なります。通関業者へ年間輸入額と税番を示し、通常税率とRCEP税率を比較すると判断しやすくなります。

仕入先開拓では単価、品質、納期だけでなく、輸出書類や原産地情報を適切に提供できる能力も評価項目です。継続的な中国調達では、こうした貿易実務への対応力が最終原価と通関の安定性に大きく影響します。