中国工場を探すとき「工場直取引」にこだわりすぎない仕入先選定の考え方
中国で新しい仕入先を探すとき、「できるだけ工場と直接取引した方が安い」と考えるお客様は少なくありません。確かに大量生産する定番商品であれば工場直取引が有利な場合があります。しかし実際の中国調達では、工場直取引であることだけを仕入先選定の条件にすると、かえって手間や費用が増えることがあります。
まず確認したいのは、その会社が何を担当できるかです。製造工場は自社製品には詳しくても、輸出書類の作成、日本向け品質基準、複数商品の取りまとめなどを得意としていない場合があります。一方、貿易会社や専門商社は製造設備を持たなくても、複数工場の調達、検品、輸出、物流をまとめて管理できることがあります。
例えばホテル一棟分の家具を調達する場合、ベッド、テーブル、椅子、金物、照明をすべて同じ工場が製造するとは限りません。一社の家具工場へ無理にまとめるより、商品ごとに適切な工場を選び、中国側で集約した方が品質と価格のバランスを取りやすいケースがあります。
新規仕入先を調査するときは、中国語の正式会社名、統一社会信用コード、営業許可証、所在地、設立年、主要製品、設備、従業員規模、輸出経験などを確認します。工場を名乗る会社なら、製造ライン、倉庫、原材料置場、完成品置場なども写真やオンライン映像、可能であれば現地訪問で確認します。
次に重要なのが契約と送金の相手です。製造会社、見積書を発行する会社、輸出者、銀行口座名義が異なることがあります。違うこと自体が直ちに問題というわけではありませんが、それぞれの関係を理解しないまま高額な前金を支払うことは避けます。
初回見積では価格だけでなく、MOQ、試作費、金型費、量産期間、梱包方法、貿易条件、支払条件、検品対応、輸出港を同じ表に並べます。単価が数%安くても、MOQが大きすぎたり、梱包容積が大きかったりすれば総原価では不利になることがあります。
また担当者の対応力も重要です。質問に具体的に答えるか、分からないことを技術担当者へ確認するか、図面変更を正確に反映するかを見ます。量産後の品質問題は、製造技術だけでなく情報伝達の不足から発生することも多いからです。
仕入先開拓の目的は「一番安い工場」を見つけることではありません。商品、数量、品質、納期、日本側の販売方法に適した供給体制を作ることです。工場直取引、貿易会社、調達代理を案件ごとに使い分けることが、中国調達を長く安定させる基本になります。