中国工場を展示会・Web・紹介から探した後に行う「取引前確認」の実務
中国で新しい仕入先を開拓するとき、最初の目的は「工場をたくさん見つけること」ではありません。重要なのは、自社の商品を継続して製造し、日本向けの品質・納期・物流条件に対応できる会社を見つけることです。展示会、Web検索、既存取引先からの紹介など入口はさまざまですが、候補が見つかった後の確認方法を標準化しておくと失敗を減らせます。
最初に確認するのは正式な会社情報です。中国語の会社名、所在地、営業許可証、設立時期、主要業務などを確認します。営業担当者から工場と説明されていても、実際には貿易会社である場合があります。ただし貿易会社だから悪いということではありません。複数工場を管理できる会社や輸出実務に強い会社にはメリットもあります。大切なのは、自社が誰と契約し、誰が製造し、誰が品質責任を負うのかを理解することです。
次に実際の製造能力を確認します。例えば店舗用スチールラックなら、切断、曲げ、溶接、研磨、粉体塗装、組立、梱包のどこまでを自社で行うのか聞きます。木製家具なら、木工設備、塗装工程、金具加工、梱包設備などを確認します。工場写真や動画だけでなく、可能であればオンラインで製造現場を見せてもらう、第三者による工場監査を利用する、現地訪問を行うといった方法もあります。
また、その工場が「作れる商品」と「得意な商品」は分けて考えます。家庭用家具を大量生産する工場と、ホテル・店舗向けの少量多品種オーダー家具を得意とする工場では、生産管理の考え方が異なります。自社案件に近い過去製品の写真、通常のMOQ、標準的な生産期間、主要輸出地域などを確認すると判断材料になります。
価格比較では必ず同じ仕様を渡します。写真だけを3社へ送ると、各社が異なる材料や構造を想定して見積するため、最安値を選んでも本当の比較になりません。寸法、材質、表面処理、数量、梱包、希望する貿易条件を共通化します。
候補を2~3社まで絞ったら、サンプルや試作を依頼します。この段階では製品そのものだけでなく、質問への回答速度、変更指示の理解、納期の守り方、梱包、書類作成能力も評価します。量産開始後は営業担当者だけでなく生産管理担当者との連携も重要になります。
最後に支払先を確認します。見積会社、契約会社、銀行口座名義、輸出者が異なる場合には関係を説明してもらいます。初回取引ほど「価格が安いから」という理由だけで前金を急がないことが重要です。
仕入先開拓は、候補発見、会社確認、能力確認、見積比較、試作、品質確認、少量発注という段階を踏むほど安全になります。長期的には数%の価格差より、安定して同じ品質を作り、問題発生時に正確な情報を共有できる工場の方が大きな価値を持ちます。