中国仕入れの相談で最初に「商品価格はいくら?」と聞かない理由

中国から商品を仕入れたいというご相談を受けると、最初に「中国ならこの商品はいくらで作れますか」と聞かれることがあります。もちろん価格は重要です。しかし実務では、商品写真一枚を見て単価だけ回答しても、その数字が最終的な仕入判断に役立たないことがあります。

まず確認するのは数量です。同じ商品でも10個、100個、1000個では単価が違います。OEMなら金型費や印刷版代などの初期費用もあります。最初に予定数量と将来の継続数量を工場へ伝えます。

次に仕様です。家具なら寸法、材料、色、表面処理、金具、耐荷重など、機械なら機能、電源、部品構成などを確認します。仕様が決まっていなければ、工場ごとに違う品質の商品を見積もることになり、価格比較ができません。

三つ目は納期です。「できるだけ早く」ではなく「11月20日に東京の店舗へ必要」という最終納品日を教えていただく方が実務的です。その日から日本国内配送、輸入通関、海上輸送、中国側船積、検品、量産、試作を逆算できます。

四つ目は納品場所です。中国工場渡し価格が安くても、日本の北海道や沖縄の現場まで運ぶなら物流費は変わります。大型商品なら現場の搬入口や車両条件まで確認します。

五つ目は輸入可否です。新商品では発注前に商品写真、材質、用途等を通関業者へ渡し、HSコード、関税、他法令を確認します。中国工場が輸出できるという回答だけで日本側の確認を省略しません。

六つ目が梱包です。大型家具や什器では商品単価以上に物流効率が重要になる場合があります。完成品で送るのか、分解して送るのか、梱包後の容積はいくらかを確認します。

ここまで確認して初めて、日本到着原価を計算できます。商品代、中国国内物流、輸出関連費用、国際運賃、保険、関税、輸入消費税、通関関連費用、日本国内配送などを分けて見ます。

例えば中国工場Aが一台200ドル、Bが210ドルでも、Bの方が梱包を小さくでき、コンテナ本数を減らせるなら最終的にはBの方が安くなる可能性があります。

中国調達の営業担当者が最初に行うべき仕事は、一番安い工場を紹介することではありません。お客様が日本で商品を受け取るまでに必要な条件を整理し、その条件に適した工場と物流方法を組み合わせることです。

初回相談では、参考写真、予定数量、希望寸法、希望納期、日本の納品場所の五つだけでも分かれば調査を始めやすくなります。その後、工場選定、サンプル、仕様確定、検品、物流、通関へ進みます。中国仕入れを成功させる近道は、最初から価格だけを見るのではなく、最終納品までの全工程を一つの取引として設計することです。