中国輸入の相談で最初に「商品価格はいくら?」と聞かない理由

中国から商品を仕入れたいお客様から「この商品、中国ならいくらで作れますか」と相談を受けることがあります。もちろん価格は重要ですが、私たちが最初に確認したいのは価格ではありません。「何を、何個、いつまでに、どこへ、どのような状態で届けたいのか」です。この情報がなければ、本当に使える見積を作れないからです。

まず商品を確認します。参考写真しかない場合でも問題ありません。ただし寸法、材質、色、用途など分かる範囲で整理します。例えば同じ店舗用ラックでも、衣服を10着掛ける商品と重量物を載せる棚では必要な構造が違います。工場へ用途を伝えることで適切な材料提案を受けやすくなります。

次に数量です。中国工場では数量によって製造方法と価格が変わります。1台の特注家具と1000台の量産家具では適した工場も違います。「最初は100台、継続すれば年間500台」のような情報があれば、工場も長期取引を前提に検討できます。

第三に納期です。「急いでいます」ではなく、日本で必要な日を確認します。そこから国内配送、輸入通関、国際輸送、中国国内物流、検品、量産、試作を逆算します。店舗開業日が12月1日なら、11月30日に日本へ到着する計画では遅すぎます。遅延や検品修正を考慮した余裕が必要です。

第四に納品場所です。東京港までの価格が知りたいのか、東京都内の倉庫なのか、店舗内への搬入まで必要なのかで費用は変わります。大型家具では、トラックが入れるか、エレベーターに入るかといった日本側条件が商品設計に影響することもあります。

ここまで分かってから工場へ見積を依頼します。工場価格と同時に梱包寸法を取得し、中国国内物流、海上・航空輸送、日本側通関関連費、関税・輸入時税金、国内配送を試算します。私たちが見たいのは中国工場の単価だけではなく、日本の指定場所までの着地原価です。

初めて扱う商品なら輸入規制も確認します。商品写真、材質、用途等を日本側通関業者へ渡し、予定HSコードや他法令の可能性を確認します。必要な試験や書類がある商品なら、量産後に知るのではなく発注前に確認します。

その後、サンプル、量産、検品、輸送へ進みます。つまり中国貿易は「安い工場を探す仕事」ではなく、製品設計から日本納品まで複数の工程をつなぐ仕事です。

初回相談で完璧な図面を用意する必要はありません。参考写真一枚からでも始められます。ただし、用途、数量、希望納期、納品場所はできるだけ具体的にしてください。この四つが分かれば、どの地域・どのタイプの工場を探し、どの輸送方法を検討するべきかが見えてきます。

良い貿易相談とは、最初から答えを決めることではありません。商品、工場、品質、物流、通関、原価を順番に確認し、実際に成立する取引へ組み立てていくことです。価格を聞く前に条件を整理することが、結果として最も早く正確な見積につながります。