RCEPを使えば中国からの輸入品は必ず関税が安くなるのか

中国から商品を輸入するとき、「RCEPを使えば関税が安くなりますか」という質問を受けることがあります。RCEPは日本と中国を含む地域的な経済連携協定ですが、中国から発送される商品すべてに自動的に低い関税率が適用されるわけではありません。

最初に確認するのは商品のHSコードです。関税率は品目分類によって異なり、そもそも通常適用される税率が無税の商品もあります。その場合、RCEPを利用しても関税面で追加的なメリットがないことがあります。まず日本の実行関税率表で予定税番と通常税率、協定税率を確認します。

次に重要なのが原産地規則です。「中国の工場から発送された」ことと「RCEP上の中国原産品である」ことは同じではありません。商品ごとに定められた原産地規則を満たしている必要があります。中国工場で最終組立した商品でも、使用材料や加工内容によって確認が必要です。

そのため工場へ単に「原産地証明書を出せますか」と聞くだけでは不十分です。予定HSコードを共有し、その商品の原産資格をどのように確認できるかを相談します。継続取引では材料構成や製造工程に変更がないかも管理します。

日本税関はEPA利用に関する情報やRCEPの原産地手続を公開しています。実際の輸入では、協定に定められた方法により原産品であることを示し、必要な手続を行う必要があります。どの証明方法を利用するか、必要資料をいつ取得するかを通関業者と事前に確認してください。

ここで注意したいのは、RCEPを利用するための事務作業にもコストがあることです。関税削減額が小さい少額輸入で、書類取得や確認作業に大きな手間がかかるなら、実務上のメリットを比較する必要があります。反対に、同じ商品を年間何十回も輸入する場合、1回当たりの削減額が小さくても年間では大きくなる可能性があります。

またHSコードの判断を間違えると、原産地規則の確認自体がずれる可能性があります。分類が難しい商品や継続的に大量輸入する商品では、税関の品目分類に関する事前教示制度を検討する価値があります。

発注前の実務としては、商品資料を取得する、予定HSコードを確認する、通常税率とRCEP税率を比較する、原産地規則を確認する、工場が必要情報を提供できるか確認する、通関業者と申告方法を決める、という順番が分かりやすいでしょう。

EPA・RCEPは「中国から買えば自動的に安くなる制度」ではありません。商品分類と原産資格を確認し、正しい手続を行って初めて利用できます。特に継続輸入商品では、発注前に制度利用の可否を確認して年間の着地原価へ反映することが重要です。